有価証券報告書の「平均年収」の正しい読み方 4つの落とし穴 2026年最新
年収ランキングの数字は、どこから来ているのか。年収JPが使っているのは、有価証券報告書の「従業員の状況」に載っている平均年間給与だけです。口コミサイトの投稿でも、推定値でもありません。
これは金融商品取引法で開示が義務づけられた数字で、監査を受けた書類に載ります。信頼度は高い。ただし読み方を間違えると、まったく違う結論になります。よくある落とし穴を4つ挙げます。
落とし穴① 「提出会社(単体)」であって、グループ全体ではない
有報に載る平均年間給与は、原則として提出会社1社の数字です。子会社の社員は入りません。
たとえばグループ全体で3万人いる会社でも、有報に載るのが本社の1,200人ぶんだけ、ということが普通に起こります。この場合の平均年収は「本社勤務の人たちの平均」であって、グループ全体の水準ではありません。
年収JPでは全ページに「提出会社(単体)の数字で、連結ではありません」と明記しています。
落とし穴② 平均年齢とセットで見ないと、比較にならない
平均年収900万円・平均年齢48歳の会社と、平均年収800万円・平均年齢33歳の会社。どちらが「稼げる会社」でしょうか。
前者は勤続の長い人が多い会社、後者は若い人が多い会社です。同じ33歳で比べたら、後者のほうが高い可能性は十分にあります。平均年収だけのランキングは、平均年齢が高い会社が上位に来やすいという強いクセを持っています。
年収JPが平均年収を単独で表示せず、必ず平均年齢を並べているのはこのためです。「年齢のわりに年収が高い会社」という切り口も用意しています。
落とし穴③ 持株会社の数字は、実態とズレやすい
「◯◯ホールディングス」の平均年収が飛び抜けて高いことがあります。これは高給取りが多いというより、持株会社に在籍しているのが経営企画などの本社スタッフだけ、というケースがほとんどです。
事業会社で働く大多数の社員は、その数字に含まれていません。年収JPでは単体従業員数が少ない会社に自動で注意書きを出しています。数字を消すのではなく、数字の意味を添えるのが正しい対処だと考えているからです。
落とし穴④ 「平均」は、一部の高額所得者に引っ張られる
平均年収は文字どおり平均(算術平均)です。中央値ではありません。役員報酬に近い水準の人が数人いるだけで、全体の平均は押し上げられます。
同じ平均700万円でも、全員が650〜750万円に固まっている会社と、300万円台と2,000万円台が混在する会社では、意味がまったく違います。残念ながら有報から分布までは分かりません。平均年収は「その会社のだいたいの水準を知る道具」であって、自分がもらえる額の予測ではない、と考えるのが安全です。
それでも有報の数字を使う理由
ここまで落とし穴を並べておいて何ですが、それでも有報の数字には決定的な強みがあります。
- 法律で開示が義務づけられている(会社が都合よく出す/出さないを選べない)
- 監査を受けた書類に載る(数字の作り方に一定の規律がある)
- 全社が同じ定義で出している(賞与・基準外賃金を含む年間給与)
- 出典を直接たどれる(年収JPでは全ページにEDINETの原本リンクを置いています)
口コミの平均値は、投稿する人の偏り(不満のある人ほど書く、など)を取り除けません。推定値は計算根拠が非公開なことが多い。「間違っているかもしれない数字」より「意味を限定して使える正確な数字」のほうが役に立つ、というのが年収JPの立場です。
求人票の年収と有報の平均年収は、そもそも別物
最後にもう1点。求人票の「想定年収」は採用時のオファー額、有報の平均年間給与は在籍者全員の実績平均です。比べるものが違います。
さらに、有報の年収には非課税の福利厚生(借上社宅の会社負担など)が1円も入っていません。この「年収に表れない差」は年100万円単位になることがあります。詳しくは実質年収とはをご覧ください。
年収JPは、有価証券報告書(法定開示)の「平均年間給与」だけを情報源にした年収データベースです。 口コミや推定は使っていません。平均年収ランキング/ 実質年収ランキング/手取りシミュレーター
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