平均勤続年数と平均年収の関係を、上場1,117社で数えてみた

数字の読み方

「勤続年数が長い会社ほど、年収が高い」。なんとなくそう思われています。年収JPに収録している上場企業のデータで、実際にそうなっているのかを数えました。

対象は、有価証券報告書の【従業員の状況】に平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数の3つがそろって載っている1,117社です。すべて提出会社(単体)の数字で、推計は入っていません。

勤続年数の帯ごとに並べると、まっすぐ上がらない

平均勤続年数社数平均年収の中央値
5年未満66社655万円
5〜10年153社635万円
10〜15年288社694万円
15〜20年519社749万円
20年以上91社733万円

きれいな右肩上がりではありません。いちばん低いのは、勤続5年未満の会社ではなく、5〜10年の会社です。ここだけ谷になっています。20年以上の帯も、15〜20年より少し下がります。

なぜ5〜10年が谷になるのか

勤続年数は、その会社の「年齢」も映しています。勤続が短い会社には、2種類あるからです。

ひとつは設立から日が浅い会社。もうひとつは人の入れ替わりが速い会社です。この2つが同じ帯に混ざります。

1,117社を業種で割ると、この構図が見えます。

業種社数年収の中央値平均年齢の中央値平均勤続の中央値
医薬品27社875万円42.6歳16.0年
ゲーム・エンタメ26社853万円40.3歳9.8年
エネルギー・インフラ21社842万円42.2歳18.5年
建設・不動産112社836万円42.6歳16.1年
金融・保険75社760万円41.1歳15.9年
電機・精密118社758万円43.1歳16.7年
商社42社748万円42.5歳15.0年
食品・飲料51社743万円41.6歳15.6年
化学・素材130社736万円42.2歳16.8年
化粧品・日用品14社728万円40.7歳12.7年
機械72社719万円41.7歳16.0年
運輸・物流59社715万円42.0歳15.9年
自動車・輸送機器63社703万円41.7歳17.5年
情報・通信142社683万円37.3歳7.9年
人材・教育25社611万円38.5歳6.7年
外食20社600万円41.8歳11.3年
小売64社587万円41.3歳13.4年
ホテル・レジャー16社573万円37.8歳10.1年
医療・福祉24社532万円42.2歳7.8年

勤続の中央値が10年を切る業種は4つあります。ゲーム・エンタメ(9.8年)、情報・通信(7.9年)、人材・教育(6.7年)、医療・福祉(7.8年)。

このうちゲーム・エンタメは年収853万円で、1,117社全体の中央値721万円を大きく超えています。一方で医療・福祉は532万円。同じ「勤続が短い」でも、年収はまったく違います。

5〜10年の帯が谷になるのは、この帯に情報・通信の会社が集中しているからです(153社のうち55社)。次に多いのが小売の17社、人材・教育の15社です。ゲーム・エンタメのように勤続が短くても年収が高い業種はこの帯に10社しかなく、平均を押し上げるところまでいきません。

平均年齢をそろえると、勤続の効果は小さくなる

もうひとつ確かめました。平均年齢が近い会社どうしで比べたら、勤続年数の差はどれだけ年収に効くのか。

平均年齢勤続10年未満勤続10年以上
30〜38歳612万円(127社)662万円(37社)
38〜43歳691万円(64社)736万円(509社)
43〜50歳736万円(22社)742万円(342社)

全体で見ると、勤続10年未満の会社(219社)の中央値は638万円、10年以上の会社(898社)は737万円で、99万円の差があります。ところが平均年齢をそろえると、差は30〜38歳で50万円、38〜43歳で45万円、43〜50歳では6万円まで縮みます。全体の99万円の差のかなりの部分は、年齢の差だったということです。

43歳以上ではほとんど差がなくなります。若い帯ほど差が残るのは、若くて勤続が長い会社(30〜38歳で勤続10年以上は37社しかありません)が、そもそも珍しいということでもあります。

会社を選ぶときにどう使うか

平均勤続年数は、年収の高さを予想する材料としては弱いというのが、この1,117社から出た答えです。使い道があるとすれば、同じ業種の中で比べたときです。情報・通信の中央値が7.9年なので、情報・通信で勤続15年の会社は、業種の中では明らかに人が長く残っています。

年収JPでは全社のページに平均勤続年数を載せています。業種別のランキングから、同じ業種の会社どうしで見比べてみてください。


この記事の数字について:年収JPが収録している上場1,117社(2026年9月2日時点)の有価証券報告書【従業員の状況】提出会社の状況から、平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数がそろっている会社だけを対象に集計しました。いずれも連結ではなく提出会社(単体)の数字です。業種は年収JPの分類で、EDINETの開示項目ではありません。社数8社未満の業種は表から除いています。初出(2026年9月1日)は536社で集計しており、2026年9月2日に収録社数の増加にあわせて数字を更新しました。

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